2018年6月2日土曜日

賃金格差是正は企業VS非正規雇用の闘いではない。

賃金格差是正は企業VS非正規雇用者の闘いではない。

2018年6月1日付のニュース
【賃金格差判決
 非正規「一歩前進」 再雇用「納得できず」】
毎日新聞2018年6月1日 22時32分(最終更新 6月1日 22時59分)
https://mainichi.jp/articles/20180602/k00/00m/040/160000c

を見て、何とも言えない不安を感じています。

筆者は安月給ながらも正規雇用のサラリーマンをしております。


このニュースに関して世の中一般には

「 非正規雇用という階級を作って人件費を安くあげて、
  企業が不当に利益を上げている 」

と思われているかもしれませんが、

筆者は掲題の通り
企業VS非正規雇用者の闘いではない、
と考えています。

では誰と誰の闘いなのか。


結論から申し上げると、
正規雇用者と非正規雇用者の闘いである、
と想像しています。

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今回の判決の記事。

タイトルにも記載しましたが、

正規雇用と非正規雇用の
賃金格差是正の実施に際して、

企業がポケットマネーで
非正規雇用者の賃金を上げる、



はずがないでよね?



この判決で企業はむしろ、

「 やったー! 」と喜んで、

正規雇用者の賃金の圧縮に走るはずです。

「 だって上を下げれば
  格差が解消するじゃん?
  簡単じゃん? 」

と臆面もなく。


つまり、5月31日の正規雇用と非正規雇用の
賃金格差の非合理性を認めて是正を命じる判決は、

「 申し訳ないけど正規雇用の皆さん、
  非正規雇用者に給料を分けてあげてね♪ 」

と言ってるのと同じです。

あ、ちなみに上の 「 ♪ 」 は

八分音符ではなく死神の鎌です。

どうでもいいか。


もっと言えば、あーだこーだの裏道を使って

「 ああ、もううちは正規雇用なし!
  全員非正規雇用! 」

とかになるかも。

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もう一つこの話でものすごく問題に感じるのは、

「 正規雇用、非正規雇用の賃金格差とか、
  そんなことに国が口出しするのって、
  ルール違反じゃないのかね? 」

ということです。

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非正規雇用者が賃金格差が気に入らないのなら、
原則として考えられるのは以下のような手続き、
段取りでしょうか。

①正規雇用になるようにスキルアップし、
 経営改善に寄与し、雇用者側との交渉を行う。
 場合によっては同意見の従業員で組合を組織し、
 団体交渉権(ストライキ)行使する。

②それでも会社側が
 本来正規雇用を行っても良い人材であるのに、
 非正規雇用に留め置く。

③気に入らないなら別の企業に転職する、
 もしくは自身で起業し、
 その企業を辞める。

④③の結果その会社が潰れるか、
 潰れないのであれば、
 やっぱりその人材はその企業にとって
 非正規雇用で十分であったと結論される。

⑤またその人材が独自に持つスキルが
 認められるのであれば、
 ③の結果より良い人生に進むことができる。

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何となくザックリと書いただけの話ですが、
これが資本主義社会の原則ではないでしょうか。

需要があり、供給があり、
そのバランスによって価格が決まる。
何らかの商品に関しても人材に関しても、
同じことが言えると思われます。

少しでも品質の良い商品を開発し、
少しでも効率よく製品を生産し、
少しでも多くの顧客を開拓する。

そのために少しでも良い人材を確保するために
少しでも良い給料を出す。

人材の側も企業を選ぶに際して、
自分が活躍できるか、活躍に対して報酬が妥当か、
モチベーティングしてくれる企業か、
人に自慢ができるような企業か、
というようなことを見定めています。

資本主義社会における他社を出し抜く競争の第一歩は
人材に対する投資、資本投下と言えると思います。

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これに対して今回の裁判の結果や、
安倍内閣の同一労働同一賃金の概念は、
言わば社会主義、共産主義と呼ばれるものに
他ならないと思います。

本人の能力による仕事の成果、生産性、
創意工夫によるそれらの改善について
報酬を払われるのではなく、

同じ作業を行う(はず)のポジションへの配置で
給与が決まる。

日本人は根がまじめで
とりあえず一生懸命頑張るとは思いますが、
そのうち、
「 俺はほんとに一生懸命頑張ってる。
  あいつはサボってるとは言わないけど、
  70%位のパワーで適当にやっていて
  おんなじ給料か。
  何だかなー。 」
と、だんだんモチベーションが下がってくる。

これがモチベーティング失敗による
一個の会社の中での人材の流出と業績悪化、
倒産であれば
まあしょうがないよね、で済みますが…

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今回のニュース記事が正論として
まかり通っている今日の日本は、
日本全体でモチベーティング失敗、
というような状況になりつつあるのではないでしょうか。

つまり、優秀で行動力のある人材が

「 あ、もうこの国ダメだ。
  別の国に転職(移住)しよう 」

なんてことが流行、一般的になり、


同一労働は同一賃金であるべき、
なんていうぬるい連中ばかりが後に残って、
名実ともに社会主義化して、

20世紀末に頻発した社会主義国の倒産と
同じ道を進む。

そんなことになるような気がします。



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