ボイスフィッシングで法人口座が狙われている｜最新の不正送金手口と今すぐできる対策

ボイスフィッシングで法人口座が狙われている｜急増する不正送金被害の実態と対策

近年、**「ボイスフィッシング」**と呼ばれる詐欺手口によって、法人口座から多額の資金が不正送金される被害が全国で急増しています。
従来のメール詐欺とは違い、「電話」を使った巧妙な詐欺のため、企業であっても簡単に騙されてしまうケースが多発しています。

この記事では、

ボイスフィッシングとは何か
実際に起きている被害の特徴
なぜ法人口座が狙われるのか
今すぐできる具体的な対策

を、専門知識がなくても分かるように解説します。

◆ ボイスフィッシングとは？

ボイスフィッシングとは、
銀行員・警察・取引先・上司などを名乗って電話をかけ、言葉巧みに口座情報や送金手続きをさせる詐欺です。

特徴は以下の通りです。

実在する銀行名・担当者名を使用
「不正アクセスがあった」「至急対応が必要」など緊急性を強調
冷静な判断をさせない
社員個人ではなく会社の資金を狙う

つまり、企業の経理担当・代表者が最も狙われているのです。

◆ 実際に発生している被害のパターン

最近確認されている典型的な被害例がこちらです。

「ネットバンキングに不正ログインがあった」と電話が来る
「安全な口座にすぐ資金を移動してください」と指示される
指示通りに送金した瞬間に詐欺だと気付く
すでに資金は海外口座などに移され回収不能

被害額は1社あたり数百万円〜数千万円に達することもあります。

◆ なぜ法人口座は狙われるのか？

個人よりも法人口座が狙われる理由は明確です。

✅ 口座残高が大きい
✅ 送金額が高額でも不自然に見えない
✅ 複数人が関わるため確認が遅れる
✅ 業務の「緊急対応」が当たり前

犯人側は、「企業なら慌てて対応してくれる」ことを熟知しています。

◆ 特に狙われやすい企業の特徴

以下に当てはまる会社は要注意です。

ネットバンキングを利用している
経理担当が1人だけ
社長が現場業務も兼任している
セキュリティ教育を行っていない
外部との電話対応が多い

中小企業ほど被害が拡大しやすい傾向があります。

◆ 今すぐできる【5つの対策】

被害を防ぐために、今すぐ実践してほしい対策はこちらです。

① 電話だけで送金手続きをしない
② 銀行からの連絡は必ず「公式番号に折り返す」
③ 送金は必ず「2人以上で確認」
④ 経理・代表者に詐欺事例を共有する
⑤ ネットバンキングの送金限度額を引き下げる

この5つを徹底するだけでも、被害リスクは大幅に下がります。

◆ もし被害に遭ってしまったら

万が一、送金してしまった場合は

すぐに銀行へ連絡
警察に被害届を提出
証拠（通話履歴・送金記録）を保存

時間が経つほど資金回収は困難になります。
「おかしい」と思った瞬間に行動してください。

◆ まとめ｜法人口座は“今まさに狙われている”

ボイスフィッシングは、
誰でも被害者になる可能性がある「現実の脅威」です。

特別なハッキング技術は不要で、
「電話で信じさせる」だけで数千万円が奪われるのがこの詐欺の恐ろしさです。

被害は「知っているだけ」で防げます。
ぜひこの記事を社内でも共有してください。

＜◆大阪府警からの注意喚起◆＞

令和７年11月より、犯罪グループが企業に架電し、ネットバンキングの更新手続等をかたってメールアドレスを聞き出し、フィッシングメールを送付する「ボイスフィッシング（ビッシング）」という手口による法人口座を狙った不正送金被害が急増しています。現在、この手口には以下の特徴が見受けられています。・発信元番号が国際電話（+国番号）である（例：+1 800 123 4567）・自動音声ガイダンスが流れたのち、銀行員を名乗る者に切り替わる・通話中にメールアドレスを聴取され、リンク付きメールが送られる被害防止のため、企業の皆様におかれましては、・銀行をかたる電話があった場合は、一旦電話を切り、銀行の支店・代表電話に確認すること・インターネットバンキング利用時は、メールに記載されているリンクからではなく、銀行公式サイト・アプリからアクセスすること・万が一、情報を入力・伝達した場合には、速やかに銀行と警察へ連絡することの徹底をお願いいたします。なお、ボイスフィッシングに関する情報は下記ページにも掲載しておりますので、併せてご覧ください。＜該当URL＞ https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/pdf/R7_Vol.12cpal.pdf 本件についてのお問い合わせは下記までお願いします。大阪府警察本部警務部高度情報推進局サイバーセキュリティ対策課電話番号 06-6943-1234